水通しは、新しい生地を一度水に触れさせてわざと縮ませることで、作品完成後のお洗濯での布の縮むリスクを抑える作業です。
買ってきた生地で裁縫をする時に必要な「水通し」「地直し」
この2つの工程を踏むと作品が綺麗に仕上がるので、この下準備のひと手間はぜひかけておきたいですよね。
ここでは特に面倒くさいイメージになりがちな「水通し」を洗濯機で行う方法をご紹介します。
水通しはなぜ必要?地直しとは?
買ってきた服を洗濯機にかけたら服が縮んだ!色落ちしてしまった!
そんな経験をしたことがある方もいると思います。
水通しは新しい布を洗濯したときにありがちなトラブル、畳みシワ・ゆがみ・縮み・色落ち対策のために必要な作業です。
特に縮み対策はせっかく完成した作品のサイズがあとから大きく変わったりゆがんだりしてしまうので最重要。
完成後に洗濯機で洗濯することを見据えた服などを作る時には水通しは必須とも言える工程です。
ただし水通しをする必要がない生地もあるので注意(次項)。
一般的な水通し・地直しのやり方ですが、
- 布をしばらく水に浸し、生乾きまで干してから(水通し)、
- 繊維が縦横それぞれ直角になるようにアイロンをかけて整える(地直し)。
こうして加工する前に布を水にくぐらせておくことで、洗濯時に布が濡れた時の収縮を安定させ、同時に生地のゆがみを整える効果があります。
水通しをすると大小なりともシワが寄ったりするので、水通しと地直しは基本的にセットです。
地直しのみの作業は霧吹きやスチームアイロンで生地の表面を湿らせながらアイロンをかけるというやり方でもできます。
しかし、こちらは収縮と色落ち対策にはならないので、将来洗濯することがない生地に行えます。
ここでは、水通しの工程で洗濯機を用いて自動で行う方法をご紹介していきたいと思います。
水通しができる生地と必要ない生地
水通しをするべき生地
- 綿・麻(リネン)が含まれている生地
- デニム生地
- ガーゼ
基本的に天然素材を含む生地は水に濡れると縮む性質があるので、水通したほうがいいです。
デニムのような色の濃い生地も色落ちの不安があるので水通しをしましょう。
水通しをしなくていい生地
- サテン
- シフォン
- ポリエステル
- ナイロン
- アクリル
化学繊維で作られた生地は濡れても縮むことはないので水通しの必要はありません。
また、化学繊維の布にアイロンをかける際には当て布をし、適正温度に設定するようにしてください(溶けます)。
一方で化繊でも綿・麻(リネン)の天然素材が混紡されているものは縮みの心配があるので水通しを行ってください。
水通しをしてはいけない生地
- シルク
- ウール
- カシミヤ
- アンゴラ 等
動物の毛は極端な縮み・変色・変質の原因となるので水通しを行うことはできません。
洗濯の際にはクリーニングに出しましょう。
洗濯機で水通しをするメリットとデメリット
普通に水通しをするよりも生地の表面についている汚れ・染料・ノリ等をしっかり取るので作品が仕上がった後により安定します。
水に直接触ることなく脱水まで自動で行えるのでお手軽というのがズボラにも嬉しいポイント。
デメリットは手作業で脱水するよりも生地がシワになりやすいです。
洗濯機で水通しする手順
今回は黒色のオックス生地を使って洗濯機で水通しをしていきます。
- 扱う生地が水通しできるか確認(前項で例を紹介)
- 生地をたたんで洗濯ネットに入れた状態で洗濯機に入れる。
※色の濃い生地については色移りが心配なのでなるべく一種類の生地ごとに洗濯するようにしてください。 - 普段と同じく分量通りの洗剤を入れる(入れなくてもOK)。
- 脱水を1~2分に設定しスタート。脱水以外は普段通りの設定でいいです。
- 干すときには軽くたたき、なるべくシワを伸ばしながらまっすぐにして陰干しする。
※散らかった部屋を隠すためにスタンプに散らかってもらいました。
ここで脱水しすぎてかなりシワになってしまった場合は布を水につけて軽く手でプレスして脱水し、形を整えて干すとシワを抑えられます。
- 生乾きになった時点で取り込み、生地を縦横まっすぐに整えながらアイロンをかける。(次項の小技も参考にしてみてください)
ここでうっかり完全に乾かしてしまった場合は布の表面に霧吹きするか、スチーム機能をつかって湿らせながらアイロンをしてください。
水通し後に実際に生地がどれほど収縮するかという点については生地によるので一概には言えませんが、今回使用した黒のオックス生地は水通し後に横幅が1.2cmほど縮んでしまっていました。
水通し・地直しを行う予定の生地を購入する場合は布が収縮するということを考慮して生地の長さにゆとりを持たせて買いましょう。
布目をまっすぐにする小ワザ:横糸を引き抜く
布目の横が真っすぐかどうか見えるようにするちょっとした小技をご紹介します。
まず生地の端を少し切り、ほつれさせ、飛び出た横糸を1~3本ほど引っ張り、引き抜きます。
引き抜けずとも引っ張っていけば、生地の表面に真っすぐ跡が付き布目が見えるようになります。
画像では引き抜けなかったためわかりずらいですが、布の下の方に真っすぐ横糸を引っ張った跡がうっすらですが付いています。
これをガイドに真っすぐになるように地直しできます。
この小技は地直し以外にも、チャコペンを引くときや生地の裁断時に真っすぐに切りたいという時にも使えます。
おわりに
服作りには欠かせない水通しですが、洗濯機を活用してからは水通しの作業が自動化できて楽になり、また、作品として仕上がった衣類をその後使用しての安定性も向上したと感じました。
水通しが面倒くさいと思っているズボラさんは少し作業が楽になる洗濯機での水通しの方法をぜひ試してみてください。
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